茶道具の塗りには種類がある?棗(なつめ)の塗りや種類なども解説

 

茶道具の代表的なものとして、棗や茶入などが挙げられます。その中でも棗は黒塗や溜塗といった種類があり、漆を使う茶道具の1つとして知られています。 漆は湿気などに弱いため、管理には気を使わないといけません。今回は茶道具の1つである棗の塗りや種類について解説していきます。

 

1. 棗の塗りの種類は?

「棗(なつめ)」は永禄7年に津田宗達の茶会で使われて以降、現代まで広く伝わっている茶道具になります。棗は形が独特で種類が多く、塗りの種類も同じくらいあります。なお、お茶の席で「お塗りは?」と聞かれたときは、「真塗の○○氏です」などと答えるのがマナーです。 お塗りという言葉は塗り師のことを指しており、「真塗」といった塗りの名前だけで答えることはありません。ただし、棗の作者がわからない場合には「真塗」や「時代物」と答えるのもOKとされます。

1-1. 黒塗

茶道具の多くはシンプルに漆で塗られています。茶の湯が始まった初期に多かったのが黒塗で、当時の定番となっていました。 その中でも本体のすべてを無地の黒漆で塗ったものを真塗(しんぬり)と呼びます。真塗には黒蝋色漆の塗装が使われており、油分をしっかりと含ませた高級な黒漆で上塗りをします。また、「総黒(そうくろ)」と呼ばれることもあり、広く普及されているのです。

1-2. 溜塗

溜塗では、まず本体に朱色の塗料で下地塗りを行います。その後、透き漆(すきうるし)という半透明の漆で仕上げていきます。 溜塗が注目された理由は、使い込んでいくうちに下地の朱色が鮮やかになるためです。使い込んだ年月が長くなるほど、さまざまな味わいを見せてくれるようになります。

1-3. 蒔絵

塗りの技術が進んでいくと、今度は装飾にもこだわる職人が増えます。装飾の代表的なものに蒔絵がありますが、こちらは表面の美しい金模様が印象的です。 茶道具の表面に金属粉を蒔くことで、その美しさが生み出されます。塗りの中でも「沈金(ちんきん)」や「螺鈿(らでん)」などが蒔絵の代表格と呼ばれています。

2. 茶道具の棗の種類と役割

茶道具の中でも有名なのは棗です。棗には種類があり、大きさによって「大・中・小」に分けられます。ほかにも平棗(ひらなつめ)などがありますが、基本的に大中小のサイズに分けられています。

2-1. なぜ棗と呼ばれる?

棗の名前の由来は、植物の棗からきています。形を見てみるとわかりますが、たしかに植物の棗によく似ています。 形によって「珠光棗」「利休棗」などと呼び方も変わるため、混乱される方も少なくありません。なお、基本的には薄茶を入れるための容器として使われます。

2-2. 濃茶を入れる茶道具は?

薄茶は棗に入れますが、濃茶の場合は「茶入(ちゃいれ)」と呼ばれる容器に入れます。茶入は陶器でできており、そこが木地の棗との大きな違いといえるでしょう。 しかし、茶入の中には焼き物を使用したものもあり、竹や象牙なども使われます。棗は漆を塗るために木地が使われますが、茶入にはさまざまな素材が使われています。

2-3. 茶入の使い道

茶入は棗と同じように抹茶を入れるための茶道具ですが、前述の通り濃茶専門の容器です。一般的に、陶器の容器と象牙の蓋がセットになっています。

3. 棗の保管方法のおすすめは?

茶道具の棗で気をつけたいのが保管方法です。木地でできている分、陶器製の茶入よりは頑丈ですが、割れやすいので保管方法を間違えないように注意しましょう。また棗を洗剤で洗うこともNG行為といわれています。

3-1. 棗は湿気に弱い

棗は湿気にも非常に弱いので、水で洗うことも控えましょう。湿気を含むことでひび割れの原因になります。 万が一濡れてしまったときは、すぐに乾いた布で拭き取りましょう。乱暴に拭くと割れてしまうので、優しく拭き取るのもポイントです。なお、棗が漆で塗られている場合には、湿気によって変色してしまうこともあります。

3-2. 基本的なお手入れ方法

棗を使った後は、やわらかい布や懐紙で拭き取るのが基本です。蓋や外側についた汚れは、組小羽と呼ばれる専用の道具を使いましょう。 汚れがひどいときには、お湯に浸した布を固く絞ってから拭き、その後乾いた布巾で拭くようにします。棗は高級品なので、できるだけやわらかい布で傷つけないように拭くのもポイントです。

3-3. 残った抹茶は取り除く

棗の中に抹茶を残さないことも重要です。抹茶が少しでも残っていると、カビや臭いの原因になります。 抹茶はできるだけ残さないようにして、外側も布で軽く拭きましょう。普段のお手入れ方法で、長持ちするかどうかも決まります。 湿気に弱い棗は、きれいに拭いた後、陰干しするとしっかりと乾燥します。湿気を含まないように、使わないときは木箱に入れるのもポイントです。

4. 棗に抹茶を入れるときの注意点

棗のお手入れのやり方を間違えると、容器が傷む原因になります。また、棗に抹茶を入れるときも注意が必要で、必ず茶こしを使ってから入れるようにします。直接棗に抹茶を入れてしまうと、静電気でダマになる可能性があるからです。

5. まとめ

まとめ

茶道具の代表的なものとして、棗や茶入などがありますが、使い方がそれぞれ微妙に異なります。また、茶道具の棗は漆で塗られているため、管理には気をつけないといけません。 茶道具が不用になった場合は、ぜひ「好日堂」にご相談ください。プロの鑑定士がしっかりと見極め、お客様の大切な茶道具を買い取っております。

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